当院の取り組み:膝関節立位正面像の有用性
歩行時に痛みを伴う変形性膝関節症を始めとする多くの膝の疾患において当院では膝関節正面像の撮影を必要に応じて立位で行っています。
これは膝関節裂隙の狭小化や大腿骨軸と脛骨軸の成す角(FTA)が臥位(仰向けで寝た状態)と立位では状態が異なり、立位にて体重が加わっている時に撮影することにより実際の歩行時の膝関節の状態が正確に把握できるためです。
これは膝関節裂隙の狭小化や大腿骨軸と脛骨軸の成す角(FTA)が臥位(仰向けで寝た状態)と立位では状態が異なり、立位にて体重が加わっている時に撮影することにより実際の歩行時の膝関節の状態が正確に把握できるためです。
歩行時に痛みを伴う変形性膝関節症を始めとする多くの膝の疾患において当院では膝関節正面像の撮影を必要に応じて立位で行っています。これは膝関節裂隙の狭小化や大腿骨軸と脛骨軸の成す角(FTA)が臥位(仰向けで寝た状態)と立位では状態が異なり、立位にて体重が加わっている時に撮影することにより実際の歩行時の膝関節の状態が正確に把握できるためです。
画像1:臥位(仰向け)正面像
画像2:立位正面像
画像3:人工膝関節置換術後
画像1、画像2は同じ患者様の左膝関節正面像ですが、画像1では臥位(仰向け)で撮影されており膝関節の変形を認めますが膝関節内側部(内顆)の狭小化は軽度です。また大腿脛骨角(FTA)は約182.4度を示しています。画像2は立位(荷重時)の正面像です。関節裂隙の狭小化は高度で、FTAも約190.9度と増大しています。このことから立位(荷重時)撮影することにより、より的確に病態を表していると言えます。この患者様には後に人工膝関節置換術(TKA)が行われました。(画像3)
変形性膝関節症のGrade分類
※画像をクリックすると拡大します
大腿脛骨角(FTA)
大腿脛骨角(FTA)
当院エックス線検査の被ばく線量について
医療被ばくガイドラインに基づく「診療参考レベル(DRL)」について。
放射線診断において良好な画質を得るためには、ある程度の線量が必要ですが、線量が高すぎると画質の低下を招くばかりか不必要な被ばくを与えることになります。
このような医療被ばくを最適化するために推奨されているのが診断参考レベル(DiagnosticReference Level : DRL)を用いた線量管理です。
※DRLの数値は患者さま個人の被ばく線量を示すものではありません。
診断参考レベルの設定に伴い、当院ではエックス線撮影検査とCT検査のエックス線吸収線量の比較を行っています。
放射線診断において良好な画質を得るためには、ある程度の線量が必要ですが、線量が高すぎると画質の低下を招くばかりか不必要な被ばくを与えることになります。
このような医療被ばくを最適化するために推奨されているのが診断参考レベル(DiagnosticReference Level : DRL)を用いた線量管理です。
※DRLの数値は患者さま個人の被ばく線量を示すものではありません。
診断参考レベルの設定に伴い、当院ではエックス線撮影検査とCT検査のエックス線吸収線量の比較を行っています。
エックス線撮影検査
(mGy)
撮影部位 | DRL2020 | 永生病院 |
頭部正面 | 2.5 | 1.6 |
頭部側面 | ※2.0 | 1.2 |
頸椎 | 0.8 | 0.7 |
胸椎正面 | 3 | 1.6 |
胸椎側面 | 5 | 2.4 |
胸部正面 | 0.3 | 0.1 |
腹部正面 | 2.5 | 1.8 |
腰椎正面 | 3.5 | 1.9 |
腰椎側面 | 9 | 3.4 |
骨盤 | 2.5 | 1.3 |
大腿骨 | ※2.0 | 0.9 |
足関節 | ※0.2 | 0.1 |
前腕 | ※0.2 | 0.1 |
(2020年8月15日現在)
エックス線撮影検査は入射表面線量計算ソフトSDECを用いて算出しています。
※DRL2015より引用
※DRL2015より引用
CT検査
DRL | 永生病院 | |||
撮影部位 | CTDIvol(mGy) | DLP(mGy・cm) | CTDIvol(mGy) | DLP(mGy・cm) |
頭部 | 77 | 1350 | 44 | 770 |
胸部 | 13 | 510 | 13 | 400 |
腹部 | 18 | 880 | 16 | 640 |
※CT検査はCT検査装置に搭載され対して線量計算ソフトで表示された値を掲載しています
当院ではエックス線撮影検査・CT検査ともに診断参考レベル(DRL)より少ないエックス線量で撮影をおこなっています。
用語解説
吸収線量
吸収線量とは放射線の照射によって単位質量あたりの物質が吸収するエネルギー量のことを言います。吸収線量の単位はグレイ(Gray、記号 : Gy)が用いられます。
吸収線量はその定義として物質の定めがありません。そのため、取り扱う問題に応じて物質を定める必要があります。人体で考える場合、臓器吸収線量がありますが、DRLでは、標準ファントムや標準的な体格の人体表面における吸収線量を用いています。これを入射表面吸収線量と言います。入射表面吸収線量は比較的簡単に測定することができ、照射線量から入射表面吸収線量を自動計算するソフトもいくつか公開されています。
吸収線量はその定義として物質の定めがありません。そのため、取り扱う問題に応じて物質を定める必要があります。人体で考える場合、臓器吸収線量がありますが、DRLでは、標準ファントムや標準的な体格の人体表面における吸収線量を用いています。これを入射表面吸収線量と言います。入射表面吸収線量は比較的簡単に測定することができ、照射線量から入射表面吸収線量を自動計算するソフトもいくつか公開されています。
CTDI(CT dose index)
CTDIはもともとCT装置の性能評価のための線量値として用いられていましたが測定のためのファントムを標準的な人体サイズにすることで患者被ばく線量の評価の指標としても用いられます。
DLP(dose length product)
CTDIがファントムの中の1点で測定された線量を表しているのに対して、DLPはこれに実際に撮影された範囲(長さ)を積算することで求められます。