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脊椎センター


永生病院脊椎センターでは脊椎脊髄疾患治療のスペシャリストである日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医2名による質の高い治療を行っております。
投薬、各種ブロック注射などの保存的治療から手術的治療まで各疾患とその症状によって個々の患者さんに治療を行っております。

脊椎センターの特長

1. 専門的な診療
永生病院では、頚椎から胸椎、腰椎まで脊椎にかかわる多くの疾患に対して脊椎脊髄外科指導医による専門的な治療を行っております。

2. 低侵襲手術
手術を要する状態となった場合にも脊椎内視鏡・顕微鏡、低侵襲用手術機器を用いて低侵襲手術を心がけております。
※低侵襲手術とは従来の手術よりも身体への負担が少ない手術です。

脊椎内視鏡:腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアに対して用いられる内視鏡器械です。皮膚の切開は約8㎜-2㎝で内部の筋肉へのダメージも少なく、術後の痛みが比較的少なく済みます。

3. 安全性を高めるために
脊椎手術において重要な合併症である神経損傷のリスクを軽減するために神経モニタリングや3D Cアーム、専用手術台を使用し、安全性の高い手術を行っております。
神経モニタリング:術中の神経の状態を確認し、神経に過度な負担がかかっていないかを常時検出する装置です。モニタリングを行うことで可能な限り神経損傷を未然に防ぐことが出来ます。

3D Cアーム:Cアームとは手術中に使用する骨を透視する装置のことです。従来のCアームは2Dで平面画像でしたが、この3D Cアームは立体的に骨やインプラントを詳細に描出できるため、骨切除部位やインプラントの刺入位置の評価を正確に行うことが出来ます。

3D Cアーム

4. 手術から自宅退院までのトータルマネジメント
当院は回復期リハビリテーション病棟が併設されています。通常、術後2~3週間で退院を目指しますが、退院に自信のない方や、じっくりリハビリを行いたい方は、担当医はそのままで、回復期リハビリテーション病棟等に移動いただき入院期間の延長が可能です。

診療内容

脊椎疾患とは首(頚椎)から背中(胸椎)、腰(腰椎)の異常によって生じる病気です。
その中には脊柱管狭窄という神経の圧迫により様々な症状が出現する疾患があります。
頚椎(けいつい)で神経の圧迫が起こると、手足の痺れや細かな動作が困難となる巧緻(こうち)運動障害、歩行困難と言った症状が出現し、胸椎や腰椎では足の痺れや痛み、筋力低下などの症状が出ます。
治療は症状により様々ですが、痺れや痛みを緩和するような投薬、各種ブロック注射などの保存的治療や手術的治療を検討します。
手術方法としては神経を圧迫している骨を削り除圧を行う椎弓(ついきゅう)切除術や不安定な骨(椎体)を固定する椎体間(ついたいかん)固定術、脊柱管を広げる椎弓(ついきゅう)形成(けいせい)術などがあります。

各疾患について

腰部脊柱管狭窄症

脊柱管は背骨、椎間板、関節、黄色靱帯などで囲まれた脊髄・馬尾が通るトンネルです。年をとると背骨が変形したり、椎間板が膨らんだり、黄色靱帯が厚くなって神経の通る脊柱管を狭くなって(狭窄)、それによって神経が圧迫を受け、神経の血流が低下して脊柱管狭窄症が発症します。
原因としては加齢、生活環境や背骨の病気による影響で変形した椎間板と、背骨や椎間関節から突出した骨などにより、神経が圧迫されます。

公益社団法人日本整形外科学会 パンフレット「整形外科シリーズ8 腰部脊柱管狭窄症」2023より引用
https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0013CKA.pdf

腰椎MRI
横断像
矢状断像

正常

腰部脊柱管狭窄症

症状
坐骨神経痛と言われる下肢の神経痛やしびれ、筋力低下を生じます。
腰部脊柱管狭窄症では腰痛はあまり強くなく、安静にしている時にはほとんど症状はありませんが、背筋を伸ばして立っていたり歩いたりすると、ふとももや膝から下にしびれや痛み、こわばりが出て歩きづらくなります。しかし、前かがみや腰を下ろして休むと症状は軽減され、歩行できるようになり、また歩くと痛くなる。この歩行と休憩を繰り返すものを間歇性跛行(かんけつせいはこう)といいます。

公益社団法人日本整形外科学会 パンフレット「整形外科シリーズ8 腰部脊柱管狭窄症」2023より引用
https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0013CKA.pdf

進行すると、下肢の力が落ちたり、肛門周囲のほてりや尿の出がわるくなったり、逆に尿が漏れる事もあります。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアとは椎骨と椎骨の間にある椎間板(髄核)が負荷や加齢などで変性し、外側を囲んでいる線維輪を突き破り神経の通っている脊柱管に突出・脱出することを指します。そのヘルニアが脊柱管内の神経を圧迫すると腰痛や下肢痛を生じます。

公益社団法人日本整形外科学会.パンフレット「整形外科シリーズ2 腰椎椎間板ヘルニア」2023より引用
https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0007DKA.pdf

症状
腰部脊柱管狭窄症と同様に下肢痛を生じます。また、強い腰痛を生じることもあります。
症状が悪化すると下肢の力が入りにくくなり、足首があげられなくなるなど麻痺を生じることがあります。また、尿や排便の障害を生じることがあります。

公益社団法人日本整形外科学会.パンフレット「整形外科シリーズ2 腰椎椎間板ヘルニア」2023より引用
https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0007DKA.pdf

頚椎症性脊髄症

腰椎と同様に頸椎も年をとると骨が変形したり、椎間板が膨らんだりすると神経の通る脊柱管を狭くなって(狭窄)、それによって神経が圧迫を受けます。
症状
両手足のしびれ・感覚障害といった感覚の障害が起こります。
また手や指が使いづらくなり、箸を持つ・ボタンを留める・字を書くといった細かな作業が難しくなり(巧緻運動障害)、歩行がぎこちなくなり平地でも転倒する(痙性歩行)ようになります。
症状が進行すると尿・便の排泄障害(膀胱排尿障害)を起こすこともあります。

頚椎症

公益社団法人日本整形外科学会 パンフレット「整形外科シリーズ12 頚椎症」2023より引用
https://www.joa.or.jp/public/publication/pdf/joa_012.pdf

胸腰椎椎体骨折

胸腰椎椎体骨折は外部から加えられた圧迫する力によって、脊椎の椎体と呼ばれる部分がつぶれてしまうことによって起こります。
脊椎は複数のパーツからなるのですが、胸腰椎椎体骨折はそのなかでも第11~12胸椎と第1腰椎の胸腰椎移行部に多発するとされています。原因としては高所からの転落、骨密度が低下している高齢者(骨粗鬆症)の転倒などがあります。

公益社団法人日本整形外科学会 パンフレット「整形外科シリーズ31 骨粗鬆症による脊椎椎体骨折」2013より引用
https://www.joa.or.jp/public/publication/pdf/joa_031.pdf

症状
主な症状としては腰背部痛が挙げられます。
また骨折が進行して、骨折した椎体の破片が脊柱管内に突き出し、それによって神経が圧迫されてしまった場合には下肢の痛みや痺れ、重度の場合には筋力低下や麻痺を起こすこともあります。胸腰椎椎体骨折の約10-15%は骨折が癒合しなくなる可能性があり、それにより神経への圧迫がおこると下肢の痛みや痺れ、重度の場合には筋力低下や麻痺を起こすこともあります。

手術内容

術式

椎弓切除術

脊柱管の屋根の部分にあたる椎弓を切除して脊柱管を広げ圧迫を解除する手術です。
仰向けの状態で全身麻酔を導入します。麻酔導入後に腹臥位(うつ伏せ)へ体位を変換します。背部~腰部の後方部分に皮膚切開を行います。(除圧によって切開の長さは異なります)皮下組織や筋肉を拡げ腰椎の後面を露出させます。
腰椎の後方にある椎弓や黄色靭帯の一部を切除して脊柱管を広げ圧迫を解除します。椎間板ヘルニアが神経を圧迫している場合はそれぞれ切除して圧迫を解除する場合もあります。

公益社団法人日本整形外科学会 パンフレット「整形外科シリーズ8 腰部脊柱管狭窄症」2023より引用
https://www.joa.or.jp/public/sick/pdf/MO0013CKA.pdf

椎弓形成術

脊柱管の屋根の部分にあたる椎弓の片側を切除、もう一方の椎弓を薄く削り椎弓を後方へ持ち上げることで脊柱管を広げ圧迫を解除する手術です。
仰向けの状態で全身麻酔を導入します。麻酔導入後に頭をピンで固定し腹臥位(うつ伏せ)へ体位を変換します。頚部の後方部分に皮膚切開を行います。(手術範囲によって切開の長さは異なります)皮下組織や筋肉を拡げ腰椎の後面を露出させます。
頚椎の後方にある椎弓の片側を切除、もう一方の椎弓を薄く削り椎弓を後方へ持ち上げ、その隙間に金属プレートや人工骨を挿入し持ち上げた状態で保持します。

後方椎体間固定術

腰椎疾患の手術で神経の圧迫を解除した後で脊柱の安定性を保つため椎間板を切除しケージと呼ばれる充填物を挿入し、スクリューやロッドで椎体を固定する手術です。
仰向けの状態で全身麻酔を導入します。麻酔導入後に腹臥位(うつ伏せ)へ体位を変換します。胸椎~腰椎の部分に皮膚切開を行います(固定する椎間の数によって切開の長さは異なります)皮下組織や筋肉をよけ腰椎の後面を露出させます。
棘突起と呼ばれる背骨の飛び出している部分を切除し、椎弓の一部を切除します。神経をよけて保護しながら椎間板を切除します。椎間板を切除した部分に患者さん自身の骨とケージというスペーサーを挿入します。このように切除した椎間板の部分にスペーサーを充填することで椎間の安定性を保ちます。その後ケージをいれた椎間の上下の椎体にそれぞれスクリューを挿入します。
スクリュー同士をロッドで固定しその上からさらにネジで固定します。このように椎体の安定を得ます.

腰椎側方進入椎体間固定術

後方からの手術では椎弓を削って神経の圧迫を取り、その上で神経をよけて椎間板にケージというスペーサーを挿入する必要があります。
しかしこの手術では骨を削る必要がないことが多く、出血量も少なく、低侵襲で行うことが出来ます。また脊椎の後方要素である脊柱起立筋群や椎間関節を切開しないで温存することが出来ます。さらに後方手術よりも大きなケージを挿入することが出来るため支持性が高く、間接的に神経の圧迫が解除されます。また大きいケージと椎体の接触面積が多く骨癒合しやすくなります。
仰向けの状態で全身麻酔を導入します。その後横向き(側臥位)へ体位変換します。左の脇腹を約5-6㎝程度切開し後腹膜側から筋肉をよけ器具を挿入します。
椎体の前方に到達します。痛みやしびれの原因になっている椎間板を特殊な器具を使いながら切除し、ケージというスペーサーを挿入します。
脇腹の傷を縫合した後うつ伏せ(伏臥位)となりX線透視化にて経皮的椎体固定術(約1.5cmの傷口を開け、金属のボルト等で背骨を固定します。)を行います。狭窄が高度で、圧迫が解除されない場合は二期的に後方からアプローチして、 直接神経の圧迫を除去する手術を追加することがあります。

内視鏡下髄核摘出術・椎弓形成術

筋肉やその他周囲の組織へのダメージを少なくするために直径16㎜の筒を患部にいれ、内視鏡下にヘルニアを摘出したり、椎弓を切除することで脊柱管を広げ圧迫を解除する方法です。
仰向けの状態で全身麻酔を導入します。麻酔導入後に腹臥位(うつ伏せ)へ体位を変換します。 腰部に約2㎝程の皮膚を切開します。切開部へ筒を挿入しそこに内視鏡を設置します。レントゲン透視化に手術部位を確認し筋肉や椎弓(神経に覆っている骨)の一部や靭帯を分けて神経を圧迫しているヘルニアを摘出します。

経皮椎体形成術

X線透視下に行う低侵襲手術の一つで骨折した椎体に風船を挿入して、その風船を膨らまることで骨折椎体を整復しセメント注入し椎体を安定させます。この手術は後壁損傷のない骨折のみが適応となります。
仰向けの状態で全身麻酔を導入します。麻酔導入後に腹臥位(うつ伏せ)へ体位を変換します。胸椎~腰椎の部分に2か所、5㎜の皮膚切開を行います。専用の細い筒を骨折した椎体へ挿入しそこから風船を筒の中に通して骨折椎体内で膨らませます。これにより骨折で圧潰した椎体がある程度整復されます。 その後風船をしぼませて、膨らんで形成された空間にレントゲン透視を見ながら骨セメントを注入して手術は終了します。

受診について

外来受診は隣接の永生クリニックで承っております。
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電話:042-661-7780(代表)
受付時間:9時00分~16時30分にお電話ください。
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